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MAGES様, 峯田茉優様「脳内革命ガール」

MAGES様より、峯田茉優様の「テレキャスタービーボーイ」カバーMVを担当致しました。

クライアントであり声優である今回のボーカル、峯田茉優さんは、声だけでなくイラストで自身を表現するアーティストであるため、その全ての表現の手段においてエッジの効いた表現をそのまま映像とすることを目指しました。

映像に着手する段階で、僕がいただいた歌声と望月けいさんのイラストの2つは、完成された相性を形成していました。
このペアに加えて、「くだらなさを諭す、否定や論破に走る」この楽曲のテーマを映像として僕なりに表現することを今回のCGの根源としました。

イラストは16:9の一般的なミュージックビデオの比率ですが、多くのCGシーンでは4:3のブラウン管テレビに無理やり押し込んでいます。これは、コーラス前までは抑圧された歌詞が登場していることに加えて、コーラスでは開放された16:9で言いたいことを言っているということも表現しています。コーラスの最後では「ありふれた唄になっていった。」とあるので、またブラウン管に押し戻されています。
最も、作品のビジュアルを紹介するべきイントロでは、正しくイラストを伝えたいために16:9のモニターを使っていますが、これは画面を通した出来事としての主張を表現しています。スマートフォンを配置している意図も同じです。

CGの全体的な色調は、イラストのバキッとしたトーンを元にしています。特徴的な赤とアクセントの青をライティングに取り入れていますが、色に加えて原曲のビジュアルとして使用されているカミソリもキーアイテムとして頻繁に登場しています。

今回のリリックモーションは全く可読性を考慮していません。これは既に広く知られている楽曲であるということも加味していますが、
何よりも、いいから歌を聴けという僕からのメッセージにも近いです。

コーラスで一瞬、キャラクターの目線を隠している記号があります。
“→[I-I-♡-I-I]←”
カミソリと矢印を組み合わせたこの記号は、原曲のMVのビジュアルを、ニコニコ動画のコメントにて絵文字化されていたものが元になっています。嶺田さんはニコニコの文化圏を愛している一面があると伺っているので、それを表現する要素として組み込んでいます。
また最後のコーラス前では、嶺田さんが描いていたイラストを元にした拡声器や指輪を、CGでモデリングし登場させています。

CGオブジェクトやマスクとして登場している、漢字の「峯田茉優」というロゴを映像のためにデザインしています。これは「尖った表現を隠し持つ」のようなイメージを元に作りました。この方針のために、このロゴ自体は映像内ではっきり登場していません。

ちょっと長くなってしまいました。
この映像は充分な制作期間によって、豊富で造詣の深い映像を求めることが可能となりました。MAGESの樹堂さん、ありがとうございます!